一般日本人緊張日記

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最近何となく手に取った↑の本を読んで、いわゆる「第三の新人」と呼ばれる日本作家達の作品をちびちび読んでいる。純文学についてはさっぱりと言っていいくらいだが、予想よりもかなり面白い。何というか妙に肌に合う感じがする。春樹は太宰などのいわゆる自然主義的な私小説について、サイズの合わない靴に足を突っ込んでいる感じ、と言っていたが、そういう人でも結構楽しめるのではないかと思う。村上春樹の文章を読むのも久しぶり。昔宇多丸師匠が映画版「ノルウェイの森」評で春樹を読むとしばらく生活の中で頭の中の春樹が喋り始めるというようなことを言っていたのを思い出した。自分も昔はそうだった気がするがもういい大人になったせいか全然頭に春樹が降りてこず、まわりくどいおっさんだなとしか思わなかった。笑 宇多丸さんの批評は「俺もなんか喪失してぇ〜!」っていう名台詞も飛び出したりしてだいぶ笑えるのでおすすめ。YouTubeとかでゴニョゴニョすれば聞ける。

 

取り上げられてるものを中心に自分が読んだのは

 

「小銃」「馬」 小島信夫 

「愛玩」「ガラスの靴」 安岡章太郎

静物」 庄野潤三

「阿久正の話」 長谷川四郎

「焼跡のイエス」 石川淳

「横しぐれ」「樹影譚」 丸谷才一

 

読んだ中だと、「ガラスの靴」、「馬」、「阿久正の話」、「横しぐれ」などが特に好み。「馬」は、奥さんがなんの相談もなく何故か勝手に家の横に新しい家を建て始めて、そこでは何故か馬を飼うことになっており、主人公はカッとなって反対したら精神病院に入れられてしまう、という話で、あらすじを読んでも意味がわかんないが、「知らない間にぶっ飛んでいく」感がたまらない。「横しぐれ」は、自分の亡き父親が四国旅行で出会ったのは俳人種田山頭火ではないか…という疑惑の真実を求めて、作品群、伝記を読み解きまくって謎に迫るうちに思いもよらぬ事実が明らかになる…というミステリー調の一品。「やっぱり山頭火なんじゃないか」「いやでも違うんじゃないか」という行ったり来たりが何度も繰り返され、その度に日記などの資料を漁りまくり、新たな仮説を立てていく主人公に「もうどっちでもいいよ!」というツッコミを入れたくなる作品だが、その徹底的な詰め方が面白いし、着地のさせ方も「え?そっち?」って感じでグッド。山頭火については名前くらいしか聞いたことないけど、プレバト毎週見てる勢なので、夏井いつき先生が最近「ベンチで山頭火」とかやってたなあとか思い出したりした。

 

 

題材にしてるのに「横しぐれ」も結構ディスってるし夏井先生も歯に衣着せぬ感じだし、すごい人なのかコ○キ坊主なのかよくわからんな山頭火は。

 

俳句といえば最近句集を初めて買った。

 

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俳句はなんと言っても季語の意味や、その言葉が持つ感覚が身になっていないと深く理解できない芸術だと思うけど、「311」という超強烈な出来事がテーマとなっているぶん、季語についての知識がなくても、ものすごく迫ってくるものがあった。自分自身、大学時代に北関東で、たいしたレベルではないがそれを体験しているというのもあるが。風邪をひいて寝込んでたこと、止まった信号、先輩の家のストーブで焼いた魚の匂い、翌日の昼過ぎようやく電気が戻り、見たニュース映像の衝撃、とか、あの時の記憶をありありと思い出したりなどした。

 

 

そういえば、「夢の中での日常」という小説に出てくる小説家がお酒に逃げる映画って、ビリー・ワイルダーの「失われた週末」なのかな?